大学の無機化学が難しい理由は?対策法も解説!

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無機化学は難しい

無機化学は、広義には周期表全体の元素を取り扱う学問で、取り扱う範囲は非常に広いです。

化学系の大学生は、早くて1年生から無機化学を学び始めますが、多くの人が挫折しているように感じます。

私も1年生で無機化学の授業をとりましたが、ちんぷんかんぷんでした。何も理解できなかったゆえに、あの授業を受けていた時間は無意味だったのではないかと今でも思います。

今回は、これから無機化学を学び始める人、あるいは無機化学の学習に苦しんでいる人に向けて、大学の無機化学が難しい理由と対処法について説明します。

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理由1: 広範な知識が必要だから

無機化学の取り扱う範囲は非常に広いことを先ほどお伝えしましたが、それに伴って、知識も広く必要になります。

例えば、無機化学の教科書を見ると初めに原子の構造について書かれていることが多いですが、これを説明するためには量子化学というやや敷居の高い学問が必要になります。

あるいは、無機化学では結晶の構造について学ぶ機会があります。そのときに必要なのが、物性物理学と呼ばれる物理の学問に関する知識です。結晶構造を決める際にはフーリエ変換の知識も必要です(化学系の学科ではここまで求められることはまずありませんが)。

他にも必要な知識はありますが、きりがないのでこのあたりにしておきます。このように、無機化学を学ぶためには広範な知識が必要です。

人によってはテストのときだけ暗記で乗り越えることは可能だと思います。しかし、これは「まじめに勉強する=暗記する」という小中高での慣習と一緒です。

化学を学びたいという意志のある方には、到底お勧めできません。

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理由2:物理の知識がないから

先ほどの理由1で出てきた量子論や物性物理学は物理学の一部です。

化学を学ぶためには物理が必要です。

例えば、量子化学の根本は、量子論という常識とは逸脱した物理の学問になります。

これがなかなか難しい学問で、物理学科の学生が2年生から3年生にかけて学ぶような学問です。

化学系の学生は量子力学の知識が隅から隅まで必要なわけではありませんが、物理学科の学生ですら2年生から3年生で学ぶのにも関わらず、化学科の学生は早いと1年生で学ぶことになるのです。

また、物性物理学も難しいです。なぜなら、物性物理学も無機化学と同様に広範囲を取り扱う学問だからです。

無機化学という広範囲を占める学問を学ぶために物性物理学という広範囲を占める学問を学ばなければいけないという状況なのです。

なお、物性物理学も量子論と同様に、すべてを学ばなければいけないということではありません。

ちなみに化学系の学生であれば無機化学で求められるのは主に量子論です。量子論を化学に適用した学問は量子化学と呼び、これは物理化学の授業で学修することが一般的です。

このように、難しい物理の知識も必要になります。

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あせらず、ゆっくり

学部生が学ぶ無機化学は量子化学や物性物理学の基礎の部分です。

しかし、あまりにも簡潔に説明されているがゆえに、かえって分かりづらくなっています。また、暗記が得意な人は、単位だけ取りたいのであれば暗記で乗り越えられてしまうのは事実です。

無機化学を勉強するのが早すぎるために、根本的に無機化学を理解したいと思っている人がこれを勉強すると、必ずと言っていいほど躓いてしまうのです。

しかし、それはあなたが悪いわけではありません。一旦無機化学から離れ、いろいろなことを勉強したあとで再び戻ってくると、しっかり理解することができると思います。