ここでは、微分と積分の融合問題に取り組みます。
これまで当記事で紹介した知識を広く活用できる問題を準備しました。
これまでの記事では、極限、連続、微分、積分など、微分積分学に必要な概念を一つずつ紹介してきました。
しかし、数学を学ぶ目的は、定理や公式を覚えることだけではありません。実際の現象を数学的に表現し、得られた結果から現象を理解することも、数学の重要な役割です。
そこで今回は、これまでに紹介した知識を幅広く活用する総括問題を用意しました。
単に計算するだけではなく、どのような仮定を置くべきか、どのような数学を使えばよいのか、そして自分が知らぬ間にどのような仮定をしているのかを考えながら取り組んでみてください。
問題設定
空気に触れると反応してしまう物質は、グローブボックスの中で保存されることがあります。
グローブボックスとは、窒素やアルゴンなどの不活性なガスで満たされた箱です。
いま、次のような状況を考えます。
新しくグローブボックスを買ったので、グローブボックスの中の空気を不活性ガスで置換したい。グローブボックスに付属している二つの管を開ける。片方からは不活性ガスを流し、もう一方からはガスが排出される。不活性ガスを流した時間とグローブボックス内の空気の割合との関係を導け。
自分事として、もし自身がこのような状況になったら、どのようにして計算しますか?
実は、私自身、研究室生活で全く同じことを考えたことがあります。ここでは、その時に考えたことを解答として紹介します。
なお、以下はあくまで私の解答です。他にも妥当な答えがあるかもしれません。
解答:モデルの組み立てから回答まで
以下では、私がこの問題に向き合ったときの思考を実直に書き起こしたものです。
それ故に、読みにくい部分もあるかもしれませんが、考えの経路を知るというのは良いことだと思うので、余計な修辞などはせずに書き起こしました。
まず、箱の中に不活性ガスが入って、もともと箱の中にあったガスが抜けていく様子を、私は頭の中で想起しました。
初めのうちは不活性ガスを入れると、組成がほぼ空気のガスが出ていく。しばらく不活性ガスを流し続けると、不活性ガスと空気の混ざったものが出ていくようになるだろう。
これをもっと精緻化すると、次のようになります:
「時刻\(t\)から\(t+\Delta t \ (\Delta t >0) \)の間に流量\( Q\)の不活性ガスをグローブボックスに流すと、流れた不活性ガスの総量は\(Q\Delta t\)である。その間に抜けたガスの量も\(Q\Delta t\)であろう。ここで、グローブボックス内の空気の割合を\(t\)の関数として\(x(t)\)とすると、排出されたガスに含まれる空気は\(x(t)Q\Delta t\)。」
…いや待てよ。排出されるガスの組成は時々刻々と変わる。排出されたガスに含まれる空気を\(x(t)Q\Delta t\)とすると、時刻\(t\)から\(t+\Delta t \)の間、グローブボックスのガス組成はずっと\(x(t)\)ということになってしまう。どうしよう。
\(\Delta t\)が小さければ小さいほど、\(x(t)Q\Delta t\)に近似できるな。だから、例えば時刻\(t_1\)から\(t_2\)までなどとして、その区間を細かく区切って、その刻み幅を\(\Delta t\)などとしておく。その刻んだ時刻につき\(x(t)Q\Delta t\)を計算して、それらを足し合わせていけば、排出されたガス中の空気の体積に近似できる。そして\(\Delta t\)を小さくしていくほど良い近似になっていく。
時間変化する量を、ある時間区間で蓄積する。これって要するに積分だな。つまり、
\[(排出されたガスに含まれる空気の体積)= \int_{t_1}^{t_2} x(s)Q \ ds \]
待てよ。\(x\)って積分できるのか?というより、上記の式を使いたいから、積分可能であってほしい。
じゃあ、\(x\)が積分可能であると言える理由を考えなければ。積分可能である関数ってどんなものがあったっけ。
連続関数は積分可能であった。まあ、\(x\)は連続だろう。直観的に、ある時刻で突然\(x\)が増減したりすることは考えにくい。
ということで、\(x\)は連続であると仮定しよう。
あと、今更気が付いたが、しれっと\(Q\)は一定ということにして計算しているな。まあ、実験するときに一定値にするだろうし、いいか。
よし、じゃあ計算しよう。何か式を立てたいな。
\(t\)でのグローブボックス内の空気の体積は、\(t\)から\(t+\Delta t\)までの間に出ていったガスに含まれる空気の体積と、\(t+\Delta t\)におけるグローブボックス内の空気の体積の和に等しいだろう。
\[Vx(t) = Vx(t+\Delta t) + \int_{t}^{t + \Delta t} x(s)Q \ ds \tag1 \]
ここで、\(V\)はグローブボックスの体積である。
\(x(t)\)と\(x(t+\Delta t)\)がそれぞれ左辺と右辺にあるから、どちらかを移項して両辺を\(\Delta t\)で割れば、微分の定義の形に近くなるな。とりあえず式変形してみよう。
\[\frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} = -\frac{Q}{V} \frac{ \displaystyle \int_{t}^{t + \Delta t} x(s) \ ds}{\Delta t} \tag1 \]
ここで\( \Delta t \to 0 \)にするとして、右辺の第二項は不定形である。どうしたらいいのだろう?
おそらく、\(x\)は単調減少な関数であろう。これの定積分は図に表すとこのような感じだろう。
いま、\(x(t’)\)という値を\(t\)から\(t+\Delta t\)で積分すると、定積分と同じになるとします。というより、こういう\(x(t’)\)って存在しそうだな、と感じるのです。なんとなく。すると、
\[
\begin{align}
\frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} &= -\frac{Q}{V} \frac{x(t’) \Delta t}{\Delta t} \\
&= -\frac{Q}{V} x(t’) \tag1
\end{align}
\]
これなら微分できそうです。
そして思い出しました。積分の平均値の定理で、\(x(t’)\)が存在することが証明できるなと。
\(\Delta t > 0\)とし、\(x(t)\)が\([t, t+\Delta t]\)で連続ならば、
\[\int_t^{t+\Delta t} x(s) ds = x(t’)\Delta t\]
となる\(t’ \ (t < t’ < t + \Delta t) \)が存在する。
よし。じゃあ(1)の両辺を\( \Delta t \to 0\)の極限を取りましょう。。。待てよ、そういえば\(\Delta t > 0\)としていたから、今回は\(\Delta t \to 0^+\)の極限しか取れないな。ひとまず\(\Delta t \to 0^+\)の極限だけとっておこう。
\[
\begin{align}
\lim_{\Delta t \to 0^+} \frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} &= \lim_{\Delta t \to 0^+} -\frac{Q}{V} x(t’) \\
&= -\frac{Q}{V} x(t)
\end{align}
\]
というのも、\(x\)は連続で、\(t’ \to t \ (\Delta t \to 0^+ ) \)、ゆえに\( \displaystyle \lim_{\Delta t \to 0^+} x(t’) \to x(t) \)だからです。
\(\Delta t < 0\)の場合分けもやらないと。この場合、
\[ Vx(t+\Delta t) = Vx(t) + \int_{t + \Delta t}^{t} x(s)Q \ ds \]
積分範囲を入れ替えて式変形すると、
\[Vx(t) = Vx(t+\Delta t) + \int_{t}^{t + \Delta t} x(s)Q \ ds \tag1 \]
お、\(\Delta t >0 \)の時と同じ式が出てきた。なるほど。この式は\(\Delta t\)の正負によらず使えるのか。
あと、積分の平均値の定理を使ったところでも\(\Delta t > 0\)の条件下で、\(t<t'<t+\Delta t\)としていたな。そのうえで、\(\displaystyle \lim_{\Delta t \to 0^+} x(t’) \to x(t) \)であった。
\(\Delta t < 0\)だったとしても、\(t+\Delta t<t'<t\)だから、\(\displaystyle \lim_{\Delta t \to 0^-} x(t’) \to x(t) \)だな。
つまり、
\[
\begin{align}
\lim_{\Delta t \to 0^-} \frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} &= \lim_{\Delta t \to 0^-} -\frac{Q}{V} x(t’) \\
&= -\frac{Q}{V} x(t)
\end{align}
\]
つまるところ、左辺の右極限と左極限は同じ値だった。言い換えると、\(x(t)\)は\(t\)で微分可能です(\(\Delta t\)の符号によらず)。
\[\frac{dx}{dt} = -\frac{Q}{V} x(t) \]
ここまで来れば、後は微分方程式を解くだけ。
\(x\)を微分すると、定数倍された\(x\)が出力される。このタイプの微分方程式の一般解は、次のようになるのでした(当サイトの微分積分学のシリーズでは範囲外だが、今までの知識で解ける)。
\[ x(t) = C\exp \left(-\frac{Qt}{V} \right) \]
なお、\(C\)は定数です。この\(x\)の式が微分方程式を満たすことはわかるはずです。そして、解には一意性があります。なぜなら、
\[
\begin{align}
x’ = -\frac{Q}{V}x &\Longleftrightarrow x’ + \frac{Q}{V}x = 0 \\
&\Longleftrightarrow x’ \exp \left( \frac{Q}{V}t \right) + x\frac{Q}{V} \exp \left( \frac{Q}{V}t \right) = 0 \\
&\Longleftrightarrow \frac{d}{dt} \left( x \exp \left( \frac{Q}{V}t \right) \right) = 0 \\
&\Longleftrightarrow x \exp \left( \frac{Q}{V}t \right) = C \\
&\Longleftrightarrow x = C \exp \left( -\frac{Q}{V}t \right)
\end{align}
\]
ということで、微分方程式を満たす任意の解\(x\)について、積の微分法則を適用すると結局同じ式が得られます。
さて、初期条件として、\(x(0) = 1\)としましょう。つまり、不活性ガスを流す前はグローブボックスの中はすべて空気だということです。すると、\(x\)の連続性より、
\[
\lim_{t \to 0^+} C\exp \left( -\frac{Q}{V}t \right) = C
\]
\[\lim_{t \to 0^+} x(t) = x(0) =1\]
\(C=1\)ということが分かりました。これより、
\[ x(t) = \exp \left(-\frac{Qt}{V} \right) \]
指数関数の指数をよく見ると、これはグローブボックスの体積に対する流れた不活性ガスの割合になっています。
| \(x\) | 0.1 | 0.01 | 0.001 | 0.0001 |
| \(Qt/V\) | 2.30 | 4.61 | 6.91 | 9.21 |
たとえば、グローブボックス内の空気濃度を1 %にするためには、グローブボックスの体積の2.30倍分の不活性ガスを流せばいいということが分かります。
ちなみに、空気中に含まれている酸素を20 %とすると、\(x=0.1\)まで小さくすると、グローブボックス中の酸素濃度は2 % (=20000 ppm)となります。グローブボックス内の酸素量としては極めて多いです。
せめて酸素濃度は0.002 % (=20 ppm)、つまり\(x=0.0001, \ Qt/V = 9.21\)くらいにはしたいものです(これでも多いくらいですが。あとは空気中の水分もなるべく取り除きたいです)。
なお、今回は不活性ガスがグローブボックスに入った瞬間に均一に混ざることを仮定しました(完全混合モデル)が、実際にはそうならないでしょう。また、グローブボックスの角のほうには空気が滞留しやすいと考えられます。更に、グローブボックスの壁に酸素や水が吸着することも考えられます。例えばグローブボックス内でサーキュレーターを回すなどの対策をすれば、このモデルにより近似されると思います。
問題と解答をきれいにまとめる
これまでの議論をもとに、問題と解答をきれいにまとめます。
一定体積\(V\)のグローブボックスに空気が満たされている。そこに、一定流量\(Q\)で不活性ガスを流す。その際、流量\(Q\)でグローブボックス内のガスが排出される。ただし、グローブボックス内のガスの組成\(x\)は常に一様なものとする。また、排出されるガスの組成は、グローブボックス内のそれと等しい。
時間を\(t\)とし、\(x(t)\)は\( [0, \infty) \)で連続として、\(x\)を\(t\)の式で表せ。
解答
\(\Delta t>0\)として、\(t\)から\(t+\Delta t\)の間の空気の収支を考えると、
\[
\begin{align}
Vx(t) = Vx(t+\Delta t) + \int_t^{t+\Delta t} Qx(s) \ ds \\
\Longleftrightarrow \frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} = -\frac{Q}{V} \frac{ \displaystyle \int_{t}^{t + \Delta t} x(s) \ ds}{\Delta t}
\end{align}
\]
なお、\(x\)は\([0,t+\Delta t]\)で連続なため、同範囲で積分可能である。
\(\Delta t<0 \ (t+\Delta t \ \ge 0)\)として、\(t+\Delta t\)から\(t\)の間の空気の収支を考えると、
\[
\begin{align}
Vx(t+\Delta t) = Vx(t) + \int^t_{t+\Delta t} Qx(s) \ ds \\
\Longleftrightarrow \frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} = -\frac{Q}{V} \frac{ \displaystyle \int_{t}^{t + \Delta t} x(s) \ ds}{\Delta t}
\end{align}
\]
よって、\(\Delta t \neq 0\)の場合、\(\Delta t\)の正負によらず、
\[
\frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} = -\frac{Q}{V} \frac{ \displaystyle \int_{t}^{t + \Delta t} x(s) \ ds}{\Delta t}
\]
ここで、積分の平均値の定理より、
\[\int_t^{t+\Delta t} x(s) \ ds = x(t’) \Delta t \]
を満たす\(t’\)が\(t\)と\(t+ \Delta t\)の間に存在する。
したがって、
\[
\begin{align}
\frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} &= -\frac{Q}{V} \frac{x(t’)\Delta t}{\Delta t} \\
&= -\frac{Q}{V} x(t’)
\end{align}
\]
ここで、\(t’ \to t (\Delta t \to 0)\)だから、上式の右辺は\(\Delta t \to 0\)で極限値が存在する。
\[
\begin{align}
\lim_{\Delta t \to 0} \frac{x(t + \Delta t) -x(t)}{\Delta t} &= \lim_{\Delta t \to 0} -\frac{Q}{V}x(t’) \\
&= -\frac{Q}{V}x(t)
\end{align}
\]
すなわち、左辺の極限値が存在、つまり\(x\)は微分可能である。
(厳密には、端点では片側微分しか定義できません。)
\[
\begin{align}
\frac{dx}{dt} = -\frac{Q}{V}x &\Longleftrightarrow \frac{dx}{dt} + \frac{Q}{V}x = 0 \\
&\Longleftrightarrow \frac{dx}{dt} \exp \left( \frac{Q}{V}t \right) + x\frac{Q}{V} \exp \left( \frac{Q}{V}t \right) = 0 \\
&\Longleftrightarrow \frac{d}{dt} \left( x \exp \left( \frac{Q}{V}t \right) \right) = 0 \\
&\Longleftrightarrow x \exp \left( \frac{Q}{V}t \right) = C \\
&\Longleftrightarrow x = C \exp \left( -\frac{Q}{V}t \right)
\end{align}
\]
ここで\(C\)は定数である。\(x(0) = C\exp 0 = 1 \)だから、
\[ x(t) = \exp{ \left( -\frac{Q}{V}t \right) } \]
なお、この式は微分から導いたため端点(\(t=0\)とガスを入れ終えたときの時間)では使えないということになってしまいかねません。
しかし、実際は問題ありません。\(x\)は連続としたので、\(\lim_{t \to 0^+} x(t) = x(0) \)となります。もう一方の端点でも同じです。つまり、\(x=\exp{Qt/V}\)という式は開区間で使えるものとして導きましたが、\(x\)の連続性を仮定しているので、結局は閉区間でも使えるのです。
もっと簡単な解き方
もっと簡単な解き方があります。
\[ \frac{d(Vx)}{dt} = -Qx \]
これは、グローブボックス内に含まれる空気の時間微分は、空気の排出速度に等しいという式です。
この式は直観的に納得いくかもしれません(でも自明だとも思いません)。
ちなみにこの式は、\(x\)が微分可能であることを暗に仮定しています。一方、模範解答として示したものでは\(x\)の連続性を仮定しています。微分可能ならば連続なので、連続であるという仮定のほうが弱いです。そのため、弱い仮定を使って計算した模範解答のほうが、より一般性があるといえます。
あるいは、こんな形でしょうか。空気の収支を考えて、
\[Vdx = -Qxdt\]
変数分離して、
\[\frac{1}{x} dx = -\frac{Q}{V}dt\]
この手の変数分離型の微分方程式は、微分方程式の授業で初めのほうに取り組みます。
\[ \ln|x| = -\frac{Q}{V}t \Longleftrightarrow |x| = \exp \left( -\frac{Q}{V}t \right) \]
ただし、\(0 \leq x \leq 1\)なので、絶対値は外せます。
なお、私がこの方法を解答にしなかったのには理由があります。
それは、\(dx\)や\(dy\)を使うやり方の厳密性を、ほとんどの化学系の学生は理解していないと思われるからです。
高校の数学では、\(dy/dx\)は分数ではなく、\(dx\)や\(dy\)は単体ではないと習います。
それが、大学に入るや否や、「微小区間\(dx\)が…」といったように、何の断りもなく高校数学で習ったことが裏切られます。
この解離に私は納得がいっていません。そのため、周りくどかったかもしれませんが、丁寧に微分の定義などを使って解答を作成しました。
なお、\(dx\) や \(dt\) を用いた変数分離は、微分形式などの数学的な枠組みで厳密に扱うことができます。また、今回のような一変数の微分方程式では、合成関数の微分法則を用いて、微分の定義に立ち返らずとも正当化できます。したがって、この計算方法自体が間違っているわけではありません。
ただ、それを知らずして便利な道具としてだけ使うというのが好きではないのです(個人的に)。
発展:微分積分学の基本定理を用いた解法
はじめに示した解法は、微分積分学の基本定理の証明と本質的に同じ構造を取っていることに気づいたでしょうか。
ここでは、微分積分学の基本定理を用いた解法を紹介します。
\[
\frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} = -\frac{Q}{V} \frac{ \displaystyle \int_{t}^{t + \Delta t} x(s) \ ds}{\Delta t}
\]
ここまでは同じです。ここで、\(F(t) := \displaystyle \int_{0}^{t} x(s) \ ds\)とおきます。
\[
\frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} = -\frac{Q}{V} \frac{ F(t+\Delta t) – F(t)}{\Delta t}
\]
\(\Delta t \to 0 \)で極限を取って、
\[
\lim_{\Delta t \to 0} \frac{x(t+\Delta t) -x(t)}{\Delta t} = \lim_{\Delta t \to 0} -\frac{Q}{V} \frac{ F(t+\Delta t) – F(t)}{\Delta t}
\]
微分積分学の基本定理から、\( \displaystyle \frac{dF}{dt} = x(t)\)なので、
\[\frac{dx}{dt} = -\frac{Q}{V}x(t)\]
以降は同様です。このように、微分積分学の基本定理からも誘導できました。二つの解法は別々のテクニックではなく、同じ数学的構造を異なる形で表現したものなのです。
ということで、この問題は微分積分学の基本定理の証明の復習にもなっていたのです。
おわりに:今回の問題から学べること
今回の問題では、グローブボックス内の空気を不活性ガスで置換するという現象を、微分積分学を用いて表現しました。
その過程では、空気の収支を考えることから始まり、積分によって排出された空気の量を表し、さらに積分の平均値の定理を利用することで微分可能性を導きました。
最終的には、微分方程式を解くことで、空気の割合が指数関数的に減少することが分かりました。
結局、この問題では様々な知識を使いました:
- 連続関数の積分可能性
- 定積分の意味
- 積分の平均値の定理
- 微分の定義、右微分と左微分の存在
- 関数の連続性と合成関数の極限
- 微分積分学の基本定理
- 微分可能ならば連続
この問題で重要なのは、単に答えを求めることではありません。
現実の現象を数学的に表現するためには、どのような仮定が必要なのか、どのような数学的操作が許されるのかを考える必要があります。
数学を使うということは、公式を当てはめることだけではないということが伝わっていれば、この記事の役割は果たせたのだと思います。