化学とは
化学とは何でしょう?
何事も、根源的な質問をされると答えるのに困ってしまうものです。
化学は、物質とその変化を追求する学問です。
じゃあ物質って何なのか?
物質とは、空間を占め、質量をもつものです。体、家、空気、食べものなどは物質です。こころなどは物質ではないと解釈されています。
化学は、変化の学問です。
これで、化学って何?と聞かれても安心です。
化学は錬金術から発展してきたとよく言われます。
錬金術は、金(きん)などの価値あるものを生み出すことで、人々を経済的・精神的に裕福にするための術であったと考えられています。
錬金術がいつごろから萌芽したのか、どんなことをしていたのかといった詳細は、実はよく分かっていません。
また、英語圏では化学をセントラルサイエンスと呼ぶ場合があります。実際、英語の教科書を見ると、Central Scienceという記述がよく見られます。日本語訳の教科書にも載っています。
化学は、様々な分野への応用が利くことを表した言葉です。
化学の基幹科目
化学は主に3つの分野に分かれます。有機化学、無機化学、物理化学です。
有機化学
有機化学は、主に炭素からなる物質を扱う学問です。
その昔、有機化学は生物に関係する物質を扱う学問でした。当時これらは鉱物のような生物とは関係ないものから作り出すことはできないと(哲学的に)考えられていました。
しかし、実際にそれが可能であるとわかり、炭素を含む物質が主に生物を構成していることが分かったため、いまでは炭素からなる物質を扱う学問が有機化学になったのです。
このような歴史的背景から、有機化学は生物との関係が深い学問です。
ただし、炭素が含まれているが有機物(炭素を含む物質)として分類されないものもあります。これも歴史的背景によるものです。
例えば、石灰岩という岩石がありますが、これは炭酸カルシウムCaCO3という炭素を含む化合物が主な成分として含まれています。
岩石は無機物(生物とは関係ない物質)である(と考えられていた)ので、炭酸カルシウムは無機化合物とされています。
しかし、炭酸カルシウムに酸をかけると二酸化炭素CO2が発生します。したがって、二酸化炭素も無機化合物ということになっています。
なお、有機化学で無機物を使ってはいけないわけではありません。実際、有機化学の教科書を見ると金属化合物も多く出てきます。
有機物、無機物はあくまで分類にすぎないので、あまり深く考える必要はないでしょう。
有機化学の教科書を見ると、反応機構という、具体的に反応がどのようにして起こっているのかを重視する構成となっています。
そのためか、有機化学は暗記科目と捉えられることが多いように感じます。有機化学のテスト前には頑張って反応機構を覚えようとする学生の姿が見られます。
かくいう私も有機化学に面白さを見出せたのは大学4年生の時で、その頃には有機化学の授業が終わってから約1年が経過していました。
有機化学の勉強を進めていくうちに、見知らぬ反応でも反応機構が予測できるようになります。このレベルに到達して、やっと私は有機化学が面白いと感じるようになりました。
確かに、有機化学は他分野の化学に比べても覚えなければならないことは多いですが、そのうち本質的なことを理解し始め、暗記科目という印象は薄くなっていくと思います。
無機化学
無機化学は、炭素以外からなる物質を扱う学問です。
元来、生物とは関係ない物質、すなわち無機物を取り扱う学問でした。
しかし、現在では無機物が生物で重要な役割を果たしていることが知られています。
例えば、血液中には鉄が含まれています。体内の血液量が減ればその分新たに作り出さなければりませんが、このとき体内の鉄が不足していると、十分な量の血液が作り出すことができず、貧血(鉄欠乏性貧血)になってしまいます。
また、必ずしも炭素を扱ってはいけないというわけでもありません。
これらの事情は有機化学と同じです。
無機化学の教科書を見ると、物理の様々な分野の概略を学ぶパートと無機物を概論的に学ぶパートに分かれています。大抵の教科書では前者が先に記されています。
後者は暗記と言って差し支えないでしょう。
そして前者は後述する物理化学で詳しく扱う範囲なのですが、この分野はとても難しく、苦手意識を抱く学生が山のようにいます。
物理化学を知らずにしっかりと無機化学を学ぼうとすると、多分泣きます。これに関しては別の記事で紹介しています。こちらをご覧ください。
無機化学を学ぶときは、ある程度の物理化学を理解してからにするか、あるいはすべて理解する勤勉さを捨てるのが良いでしょう。
物理化学
化学は物理との関りがとても深いです。
物理化学は、化学に関係する物理を扱う学問です。
一般に、物理化学では次のような分野を対象にします。
- 熱力学
- 量子化学(量子論を化学に応用した分野)
- 反応速度論
- 統計力学
- 物性物理学
学部の物理化学の授業では熱力学、量子化学、反応速度論を勉強するのが一般的です。統計力学や物性物理学は一切触れられないことも多いです。
物理化学は、化学を専攻する学生の間でも苦手とする人がとても多く、難しい分野です。
さらに、その中でも量子化学はとりわけ難解な分野として名高いです。
基本的に、物理化学は根本原理からしっかりと学ぶ必要がある学問で、それなりの時間をかけて勉強しなければいけません。
基本的に大学生はバイトやサークル、遊びに明け暮れ、あまり勉強しない(印象がある)ので、苦手な人が多いのも納得できます。
物理化学を学ぶ最大の利点は、化学の根本を理解する術を身に着けられることです。
なぜ結合ができるのか、なぜこの反応は平衡反応なのか、といった根本的な疑問に答えを示すのが物理化学です。
さあ、化学を学ぼう!
以上が化学の概要です。
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